安さの裏側で起こったこと(2000年代)

中小飲食店の「採用 定着 育成」の専門家。日本フードリーダース協会代表理事の小山心兵です。

前回は、安さの競争のなかで、外食が見失ったものをお話ししました。

今日は、その安さの裏側で、お店で働く人に何が起きていたのか。2000年代の、お店の現場のお話です。

売上が増えにくいなかで、値段を下げる。

すると、利益が薄くなります。

では、お店のなかで、削れるものは何でしょう。

食材の原価には、限りがあります。

家賃も、すぐには変えられません。

最後に手がつけやすいのが、「人」でした。

少ない人数で、長い時間、お店を回す。

厨房もホールも、ひとりでこなす。

この「人を減らして回す」やり方が、あちこちのお店に広がっていきました。

その象徴が、店長さんでした。

2008年9月、厚生労働省は、全国の労働局に通達を出します。

チェーン展開する企業の、小さな店舗の店長さんが、十分な権限も待遇もないまま「管理監督者」として扱われ、長く働いても残業代が払われない。そんな不適切なケースが見られたためです。

いわゆる「名ばかり管理職」の問題です。

店の灯りを守るために、誰よりも長く働いていたのは、店長さんたちでした。

もうひとつ。

2007年以降、食品の偽装表示の事件が、相次いで起きました。

理由はひとつではありません。ただ、安さと利益のプレッシャーのなかで、無理が積み重なっていった面がある。私は、そう見ています。

ここで、お伝えしたいことがあります。

これは、働く人が悪かった話でも、経営者が悪かった話でもありません。

どのお店も、お客様と、お店を守ろうとしていた。その結果、起きたことです。

そして、何が残ったか。

無理を重ねるうちに、飲食の世界は、少しずつ、敬遠されるようになっていきました。

「ここで働いても、夢や希望が持てない」。

そう思われて、業界の人気が下がっていったのです。

外食は、もともと、人に夢を見せる仕事のはずでした。

その仕事をする人が、夢を持てなくなってしまった。

人が辞める。応募してくれる人が減る。人が足りない。

残った人の負担が増える。そして、また人が辞める。

この悪循環と、業界の人気の低下。それが、いまの採用難につながっています。

安さで削ったのは、利益だけではなかった。

お店の「人」と、飲食という仕事の「夢」だったのです。

この悪循環から抜け出す入り口は、どこにあるのか。

その考え方は、FLM講座でお伝えしています。

続きは、講座で。

ところが、2010年代に入ると、時代は、また動きます。

次回、お伝えしますね。

次回は、「お客様は戻った。でも、人が足りない。歴史をたどる(2010年代)」。市場が戻った2010年代の、お店の現場のお話です。


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