市場は戻った。でも、人が足りない。歴史をたどる(2010年代)

中小飲食店の「採用 定着 育成」の専門家。日本フードリーダース協会代表理事の小山心兵です。

前回は、安さの裏側で、お店で働く人に何が起きていたのかをお話ししました。

今日は、その続き。2010年代のお話です。

2012年、外食の市場は、23.2兆円まで小さくなっていました。

ところが、ここから、数字は上向きます。

業界団体の推計では、2019年には、26.3兆円。

7年で、3兆円あまり。外食の市場が、戻ってきたのです。

なぜ、戻ったのか。

ひとつは、景気です。2012年の終わりから、6年近く、景気の拡大が続きました。

もうひとつは、訪日のお客様です。2012年に836万人だった訪日外国人は、2019年には3,188万人。4倍近くになりました。

そして、長い不況の痛みを、世の中が少しずつ忘れていった。私は、そう見ています。

ふつうなら、ここで「よかった」となるはずです。

でも、お店の現場は、そうではありませんでした。

市場は戻った。

それでも、戻らなかったものがあります。

「人」です。

厚生労働省の調査では、2019年6月末の欠員率は、全産業で2.7%。

「宿泊業,飲食サービス業」では、6.1%でした。

募集をかけても、人が来ない。来ても、続かない。

シフトが埋まらない。休みが取れない。残った人の負担が増えて、また誰かが辞める。

そんな悪循環が、市場が戻った時代にも続いていました。

これは、前回お話しした2000年代と、つながっています。

人を減らして回す。長く働きたいと思える店が減る。

「夢や希望が持てない仕事」と思われて、飲食の人気が下がる。

その結果、市場が戻っても、お店を回す人が戻らなかった。

そんななかで、お店は二つに分かれていきました。

人を集められる会社は、お店を増やし、仲間を増やし、大きくなる。

人が集まらない小さなお店は、席があっても、開けられない。

2010年代は、外食が「再編」に向かった時代でした。

安さの競争のあとに来たのは、「人の取り合い」でした。

お客様がいても、人がいなければ、お店は開けられません。

せっかく来てくださるお客様を、席が空いているのに、お断りする。

これほど、もったいないことはありません。

これからの外食の勝負は、値段ではありません。

「人が集まり、育ち、辞めない店」かどうかです。

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さて、歴史の本筋は、ここまで。

次回は、ちょっと寄り道です。

江戸の人たちは、どうやってお店を選んでいたのでしょうか。

次回は、「歴史こぼれ話① 江戸の人は、どうやってお店を選んでいた?」。番付やガイドブックのお話です。


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