安売りの時代に、外食は何を見失ったのか。歴史をたどる(後編)
中小飲食店の「採用 定着 育成」の専門家。日本フードリーダース協会代表理事の小山心兵です。
前回の最後に、こう書きました。
「ここから、歴史は変わります。」
今日は、その続きです。
1980年代の終わり。
株と土地の値段が、急に、大きく上がりました。
いわゆる「バブル」です。
ところが、1990年代に入ると、値段は一気に下がりはじめます。
内閣府の資料では、日経平均株価は、1992年8月に、ピークから6割以上も下がりました。
これが、バブル崩壊です。
景気は冷え込み、「お金を使うのは、少し待とう」という空気が広がった。
私は、そう見ています。
それでも、外食の市場がピークを迎えたのは、1997年。
29.1兆円でした。
そのあと、外食の市場は、少しずつ小さくなります。
2012年には、23.2兆円。
ピークから、およそ2割です。
お店の現場では、何が起きたのでしょうか。
同じ席数、同じ時間、同じ人数で働いても、売上が増えにくい。
お客様に来てもらいたい。お店を守りたい。
そこで、多くのお店が選んだのが、「安さ」でした。
隣のお店が値段を下げたら、うちも下げる。
下げたら、また隣が下げる。
気づけば、どこも安い。
値引き、割引、お得なセット。
「お得」を並べるほど、お店ごとの違いは、見えにくくなっていきました。
利益が薄くなれば、使える人手も、かけられる手間も、減らすしかありません。
お店のせいではありません。
みんな、必死だったのです。
私は、この流れを「外食デフレ」のはじまりと見ています。
ただ、私は、この安売りの競争のなかで、見失ったものがあると思っています。
外食は、もともと、特別なものでした。
家族で出かける。お祝いをする。ちょっといい服を着て、席につく。
外食は、ご馳走であり、夢の一部だったのです。
ところが、安さで選ばれるうちに、お客様の「ものさし」が変わっていきます。
「どんな時間を過ごせるか」より、「どこが安いか」。
外食の魅力や大義が、値段の話に置きかわってしまった。
私は、そう見ています。
そして、長く「安い外食」に慣れたことで、日本は、外食で単価が取れない国になった。
その波を、いまも引きずっている。
私は、そう見ています。
つまり、問題は、お店のがんばりが足りないことではありません。
外食という仕事の「値打ち」が、長い時間をかけて、すり減ってきたことなのです。
この時代の流れは、FLM講座では、図にしてお伝えしています。
続きは、講座で。
では、安さを追いかけたお店の中で、働く人たちには何が起きていたのか。
次回、お伝えします。
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参考:内閣府 経済白書(平成5年版)/農林水産省・厚生労働省 外食産業の市場規模の推移
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